学生さんからいただいた質問【4】
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事前に書面で、jive宇都宮[笠原健一]宛てにお寄せいただいたご質問に回答いたします。
28.余命宣告.comをやろうと思ったのは何故ですか
ブログを通じて知り合った、クロロ96さんという人からメールが来たのがきっかけです。彼は、左脳に脳腫瘍がありました。右脳と左脳、位置の違いはあったけれど、発作などの症状もとてもよく似ていて、意気投合しました。
発症は彼のほうが早かったので、当時、彼は、体調がつらい状況にありました。「何かを伝えたいんだ。」という彼の想いを実現させるため、ふたりで話し合って、ホームページを立ち上げました。講演活動を始めたのも、彼の熱い想いがあったからです。
残念ながら、クロロさんは、第1回の講演会が終わって、しばらく経ってから、星になってしまいました。とても寂しいです。
29.どんな気持ちで講演の依頼を受けたのですか
この授業を担当している、金福漢先生とは、仕事の関係で、何度かお会いしたことがありました。
また、先生のなさっている仕事についても、いろいろと話を聴いていました。とても立派なかただ、と尊敬しています。そんな先生から、「もしよかったら」とお声をかけていただいたので、とても嬉しかったです。
30.私はとってもマイナス思考なのですが、どうしたら変われますか
人間は、電極では無いので、「マイナス」も「プラス」も無いと思います。今は“マイナス”思考だとご自身で感じておられても、悩んだぶんだけ、後になって、その経験が活きてくると思います。
そうなれば、結果として、“プラス”だと思います。悩んでしまう、ということは、それだけ感受性が豊かで、思慮深いということだと思います。
僕自身が、すぐに何でも、くよくよ悩む性格なので、よく分かるのですが、周りから「あんまり考えすぎないほうがいいよ」と言われても、性格なので、考えるのを止めるというのは、なかなか難しいのかな、と思います。
どうせ時間をかけて悩むのなら、徹底的に悩み抜いて、考えて考えて考え抜けば、きっとその先に、いいことがあると思います。人の痛みの分かる人になれると思います。
31.ありのままでいることは、大切なことのようで難しいです
僕も、そう思います。僕は何でも突き詰めて考える性格なので、「そもそも『ありのまま』って何だよ」と感じています。
「ありのままの自分」という言葉は、とても良い響きを持っていて、なんだかとても価値のあることのように言われていますが、誰だって、そのときどきの状況に応じた「自分」を、ある意味では“演じて”いると思うので、たんじゅんに「ありのまま」であることは難しいと思います。
意識せずに自然体で、ありのままに生きている人は、爽やかでとても素晴らしい、と思います。でも、「自分は『ありのまま』ではない。どうしたら『ありのまま』に生きていけるんだろうか」というように、それが悩みの種になってしまうのは、もったいないと思います。
悩んでいるなら、悩んでいる自分が「ありのまま」なんだと思います。
32.どういう思いで、この文章を書いたのですか
今の僕に出来ることは、自分の想いを、可能な限り、正確に言葉に置き換えていくことだと思っています。
もちろん、そこには、文章力や語彙の問題などがあるのですが、まずは、「自分」というものを、しっかり表現しようと思っています。それを読んだ人に、「あー、こんな人もいるんだー」というふうに感じていただけたら、とても嬉しいです。
33.“死にたい”という気持ちと戦っている人へのメッセージがあれば、教えてください
正直、僕も、ときどき、“死にたい、自分で死を選べるうちに、苦しまないで終わりにしたい”と思うことがあります。
病を得る前は、「自分は、自ら死を選ぶなんて考える性格ではない」と思っていたので、自分でも、その変化に驚いています。
人それぞれ、いろいろな事情があると思うので、“死にたい”と思ってしまうことがあっても、仕方無い、と思います。
だから、“死にたい”と言う人に対して、なんの根拠もなく、「ダメだよ」と言うことは、僕には出来ません。
でも、身近に、もし、そういう人がいたら、人の痛みを100パーセント理解することは無理だ、と承知の上で、そして、あくまでも、僕自身の個人的な願いとして、「生きてほしい」と伝えると思います。その人の気持ちに寄り添って、話を聴きたいと思います。
34.塾では何を教えていたのですか
主に、中学生の「国語」の授業を担当していました。
35.中学校、養護学校での仕事は楽しかったですか
楽しかったです。
学習塾でのアルバイトも含めれば、僕は10年ほど、“先生”をやったことになります。僕は、子どもたちと関わる仕事が、ほんとうに好きでした。仕事自体を嫌だ、と思ったことは、一度もありません。
36.生徒とのコミュニケーションは上手くとれていましたか
努力はしていたけれど、失敗もたくさんありました。そこを活かして、今後の仕事に役立てよう、と思っていた時期だったので、教育の世界から離れなくてはいけないからだになってしまったことは、とてもつらかったです。
養護学校では、言葉を持たない児童生徒と接していました。僕は、言葉に強く頼った物の考え方をしていたので、養護学校での体験は新鮮でした。相手の体温や、呼吸や、脈拍や、目線や、ちょっとした表情から、相手の気持ちを感じ取るのは、難しかったです。
子どもたちが、僕のことをどう思っていたのかは、訊くことができないのですが、僕自身は、子どもたちから、多くを学びました。「子どもたちのほうが、“先生”だよな」といつも、感じていました。
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(2008.12.13 笠原健一[jive宇都宮])