第2回講演会!~生きる~

学生さんからいただいた質問【3】

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事前に書面で、jive宇都宮[笠原健一]宛てにお寄せいただいたご質問に回答いたします。

 

19.思い残していることはありませんか

僕は、地理や歴史に興味があるので、海外旅行をしてみたかったなぁ、と思います。 働くことも、とにかく好きなので、もっとたくさん仕事をして、社会に貢献したかったなぁ、とも思います。

20.怖くなる時はありますか

いつも怖いです。でも、必要以上に怖がっていると、ストレスで、体調を崩してしまうので、怖さと、いかにうまく付き合っていくか、が今の僕の課題です。

21.笑顔をもらえる瞬間は

人と話すこと、人の話を聴くことは、今の僕にとっては、負担なのですが、それでも、人と接することが好きなので、何気ない世間話とか、冗談とか、そういうことが、とても幸せです。

22.31歳の誕生日を迎えた心境

28歳の誕生日に最初の発作が起こったので、ちょうど、発症から3年が経ったことになります。この3年間いろいろあったなぁ、と思うと同時に、具体的な数字が刻まれてしまったことが、少し怖いです。

でも、たくさんの人からお祝いの言葉をいただいて、幸せな誕生日でした。

23.結婚した理由は

僕は、結婚しないつもりでした。実際、何度も断りました。僕は、たくさん働いてお金を稼ぐこともできないし、いずれは、発作が増えて、再発して、からだがまひして、という運命です。

そんな自分と結婚するより、もっと別の幸せを探してほしい、と言った記憶があります。わざわざ、自分から苦労を選ぶ必要はないよ、とです。

それでも、妻の気持ちは変わりませんでした。

結婚して、今、とても幸せです。経済的にも妻に養ってもらっています。僕は、ほんとうに、恵まれた人生を歩んでいると思います。

24.結婚して何年ですか

僕は、何でもすぐ忘れてしまうので、分かりやすい日に入籍しました。2007年7月7日です。計算は苦手なので、自信がないのですが、1年半くらい、ということになると思います。

25.奥さんの好きなところはどこですか

「目立たないけれど、堅実で、着実に、我慢強く、自分のやるべきことをやるところ」です。「生活を楽しむ」ことが妻のモットーだそうです。家事も完璧です。

僕はすぐに目立とうとしたり、大きなことをやろうとしたりして、足もとがいつもぐらぐらしているのですが、妻は、生活の基礎となる部分を、しっかり押さえてくれます。

たとえば、重い病気の人と結婚して、相手を支えているのだから、もっとそのことを自慢したり、誇ったりしてもいいと思うのですが、妻にはそういう部分はなく、いつも、淡々と、にこやかに、別になんでもないよ、というふうに、僕を気遣ってくれます。感謝しています。

26.ブログは何がきっかけで始めたのですか

一人暮らしをしていたアパートを引き払って、段ボールいっぱいの荷物を、片っぱしから捨てて、あとは、遺書を書こうと思っていました。

でも、書けませんでした。とにかく、寂しくて、自分の気持ちを誰かに知ってほしくて、何かを残したくて、長い長い遺書のつもりで、ブログを書き始めました。

27.「ハートは心臓にある」は、どのように考えたのですか

大きな発作を起こして入院したとき、僕は、発作への恐怖から、パニックに陥ってしまいました。ときどき主治医の先生が、僕のベッドを覗きにきて、「大丈夫かい?」と声をかけてくださいました。

そのとき、いつも僕の、胸の部分を、ゲンコツで叩いてくれました。「発作が起きるかと思うと怖いんです」という僕に対して、先生は「違うよ、大丈夫かって訊いてるのは、ここだよ、ここ」とおっしゃって、また、胸の部分を叩いてくれました。    

そのとき以来、僕は、怖いときは、心臓に気持ちを集中させるようになりました。発作が起こっていても、息が苦しくても、ちゃんと血は流れているんだ、僕のハートは心臓にあるんだ、と思うようになりました。

「ハート」も「心臓」も、英語の辞書を引くと、『heart』です。「ハートは心臓にある」という言葉には、同語反復の意味を込めています。めぐっていく、そして、戻っていく、そんな想いを込めた言葉です。

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(2008.12.13 笠原健一[jive宇都宮])

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