犬(jive宇都宮)
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僕は、犬や猫などの動物が苦手だった。「だった」と過去形で書くのは、今現在は苦手ではないからだ。
今では街で出会う動物に、とても親しみを覚えるようになった。
「今日の調子はどうですか。猫の生活もいろいろたいへんでしょう」
と同じ目線で語りかけると、警戒心を解き、近寄ってきてくれることが分かった。
病気になったことで、僕の中で、いろいろなものが崩壊し、失われた。
夢、とか、希望、のように大きなものだけではなく、けいれん発作が続くことで、僕の中で「自分が自分であること」さえも、だんだんと、曖昧になってきている。
だから、それが逆に良いのかもしれない。
街で犬に出会うとき、僕は、犬そのものになっている。
自分が自分であることなんて、ほんとうは、たいした問題ではないんだ。
空を見上げても、道端の石を見ても、僕はそれらに強い親しみを感じる。また、それらと静かにつながっていくことに、安らぎを覚える。(jive宇都宮)